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液体肥料とは?
固形肥料との違いやメリット・デメリット
種類や効果的な使い方を解説


農業で使用する肥料は、大きく分けると固形肥料と液体肥料の2つに分類されます。このうち液体肥料は即効性の高さや成分調整のしやすさなどから、農作物の収穫量アップを目指す方や、農薬との併用を考えている方に適した肥料とされています。
一方で液体肥料ならではのデメリットもあるため、固形肥料と比較して、より適した肥料を使用することが大切です。

本記事では、液体肥料の定義と主な特徴、固形肥料との違い、液体肥料を使用するメリット・デメリット、主な種類と効果的な使い方を紹介します。

【この記事で分かること】

●液体肥料とは、原液または水に薄めて使用する液状の肥料
●固形肥料に比べて即効性が高く、葉面散布にも使える
●持続性が低いため、小まめに使用する必要がある

液体肥料(液肥)とは? 定義と主な特徴

液体肥料とは、その名前の通り液状になった肥料です。「液肥」と略されることもあります。液肥の多くは化学肥料ですが、動植物に由来する有機肥料も含まれます。
日本では昔から、魚の煮汁や獣肉の発酵液などが液肥として使用されてきました。現在は生産技術の進歩に伴い、より使い勝手が良く、効果的な液肥がさまざまなメーカーから販売されており、家庭用から農業用まで幅広く活用されています。

固形肥料との決定的な違い

固形肥料と液肥では特徴が大きく異なるため、どちらを使えば良いかは用途や目的に合わせて選ぶ必要があります。また固形肥料と液肥は併用できるため、農作物の状態や天候などに合わせて肥料を使い分けるのも良いでしょう。
ここでは、液肥と固形肥料の決定的な違いを3つ紹介します。

1. 効果が現れるまでの時間

液肥と固形肥料は形状が異なるため、肥料を与えてから効果が現れるまでの時間に差があります。
固形肥料の場合、土壌にゆっくり溶けていくため、作物が栄養を吸収するまでに時間がかかります。一方の液肥は土壌に素早く溶け出すため、短時間で栄養を供給することが可能です。特に生育速度の高い農作物は多くの栄養が必要になるため、固形肥料より液肥が向いているでしょう。

2. 持続性

固形肥料は効果が現れるまでに時間がかかる一方で、長く効果が続きやすく、長期間にわたって栄養を供給することが可能です。液肥は即効性は高いものの、効果はさほど長く続かないため、小まめに肥料を与える必要があります。

3. 使用方法

固形肥料は土の上、あるいは土中にまいて使用しますが、液肥はそのまま使えるストレートタイプを散布するか、原液を水で薄めてから使用します。また固形肥料は土壌散布が基本ですが、液肥はその性質上、葉面にも散布できるところが特徴です。

液体肥料のメリット・デメリット

液体肥料はメリットが多い反面、液肥ならではのデメリットもいくつかあります。また、場合によっては固形肥料を使用した方が良い場合もあります。液肥の長所と短所をどちらも理解した上で、肥料を適切に使い分けましょう。

メリット1. 即効性がある

液肥のメリットはやはり即効性が高いところです。最初から水溶性の液状になっているため、農作物の根から吸収されやすく、必要な栄養成分を速やかに与えられます。
農作物は成長期に入ると短期間で多くの栄養が必要になるため、固形肥料では供給が追いつかない可能性があります。しかし、液肥なら迅速かつ必要十分な栄養を補給できるため、農作物を効率よく育てられるでしょう。
成長期に十分な栄養を与えれば農作物は健全に成長し、豊富な収穫量と高い品質を期待できるようになります。また、例えば急に葉色が悪くなったときや栄養不足をすぐに解消したい場合は液肥を選ぶ、収穫までに時間がかかる果樹の栽培には固形肥料を選ぶなどの使い分けも可能です。

メリット2. 施肥量(せひりょう)を調整しやすい

液肥は原液に水を加えて使用するのが一般的ですが、水の量を調整すれば簡単に施肥量をコントロールすることが可能です。施肥量とは、作物の栽培時に使用する肥料の分量を指します。
農作物の種類や生育状況などに合わせて希釈すれば、より効率的に必要な栄養を与えられるでしょう。また、適切な施肥量を維持すれば無駄が減るため、コストカットにもつながります。

メリット3. 葉面散布が可能

葉面散布とは、農作物の表面に肥料を散布する施肥方法の一種です。植物が根から栄養分を吸収することは広く知られていますが、実は葉面からも成分を取り込めます。この特徴を踏まえて葉面散布を行えば、手軽に追肥が可能です。また、土壌を介さず直接葉から栄養を取り込める分、高い即効性も期待できます。
葉面散布は、根が弱っているときでも栄養を与えやすいところが大きな利点です。根は地温が低いときや、肥料やけ、過湿を起こしているときに活動が鈍りやすく、通常よりもスムーズに栄養を取り込めない場合があります。葉面散布なら根に負担をかけずに肥料を与えられるため、寒い冬場やトラブル発生時でも健全な育成を促進できるでしょう。
ただし、葉面散布では肥料を霧状にして散布する性質上、基本的に固形肥料の使用は不向きです。液肥なら土壌散布だけではなく葉面散布にも活用できるため、シーンに応じて使い分けられます。

デメリット1. 持続性が低い

液肥は最初から液体である以上、栄養分が流れやすく、効果が持続しにくいという欠点があります。また液肥は雨に流れやすいため、長雨が続いているときは固形肥料を使用した方が良い場合もあります。
前述の通り、液肥は葉面散布によって手軽に追肥することが可能です。反面、短いスパンで使用する必要がある点は注意しましょう。

デメリット2. 肥料やけを起こす可能性がある

肥料やけは、農作物に適切な肥料を与えないことが原因で発生する生理障害です。
肥料やけの原因は複数あります。液肥の場合は即効性が高いため、肥料の与え過ぎによる障害が起こりやすい傾向があります。
肥料を過剰に与えると土壌中の肥料濃度が高くなり、浸透圧の関係で作物の根中の水分が土壌に流出し、根がしおれる可能性があるため注意が必要です。

液体肥料の主な種類

液体肥料の種類は、含有する成分の種類と原料の違いによって大きく4つに分類されます。
ここでは、液体肥料の主な種類とそれぞれの特徴をまとめました。

◆単肥

単肥とは、窒素・リン酸・カリのうち、いずれか一つの成分しか含んでいない肥料のことです。代表的な例としては、塩化カリウムや硫酸アンモニウム、過リン酸石灰などが挙げられます。
特定の栄養素をピンポイントで供給したい場合は、単肥タイプの液肥を使用すると良いでしょう。

◆複合肥料

複合肥料とは、窒素・リン酸・カリのうち、いずれか2種類以上の成分を含んだ肥料のことです。複合肥料のうち、2種類以上の肥料に化学的な工程を加え、形状や肥効期間などを調整したものは化成肥料と呼ばれます。
適切な複合肥料を使用すると、農作物にとって必要な栄養素をバランス良く供給し、健全な成長を促すことができます。

◆化成肥料

化成肥料は、化学肥料を原料としています。作物に吸収されやすく、かつ微生物の影響を受けにくいため、即効性に優れます。なお、市場に流通している液肥の多くは化成液肥です。
ただし、化成肥料は持続性が低いというデメリットもあるため、注意しましょう。

◆有機肥料

有機肥料とは、植物性または動物性の有機物を原料とした肥料のことです。作物への栄養補給だけではなく、土壌の状態を良くする効果も期待できます。
有機肥料は効果の持続性が高い一方で即効性は低いため、すぐに栄養を補給したい場合には不向きです。また化成肥料よりも単価が高いため、コストがかさみやすいところにも注意が必要です。

液肥の効果的な使い方と注意点

液肥を効果的に活用するためには、液肥の正しい使い方や注意点をしっかりと把握しておくことが大切です。
ここでは、液肥をより効果的に使うためのポイントと注意点を3つ紹介します。

1. 使用のタイミングに注意

液肥は水に流れやすいため、雨が降る前に使用すると十分な効果を得られない可能性があります。事前に天気予報を確認し、雨が降りそうなときは日程を調整して使用しましょう。
なお、雨上がりなど土が湿り気を帯びている場合は液肥の濃度が薄くなる可能性があるため、濃度をやや高めに調整すると効果的です。ただし、濃度を上げ過ぎると肥料やけを起こす原因になるので加減に注意しましょう。また、液肥は高温時は蒸発しやすいため、朝や夕方など気温が低いときに散布するのがおすすめです。

2. 希釈倍率を守る

「濃度が高い方が効きそうだから」という理由で希釈倍率を変更すると、農作物に良い影響を与えるどころか、肥料やけを起こすリスクが高まります。雨の影響を考慮してやや濃度を高めに調整する程度であれば問題ないものの、基本的に液肥のパッケージなどに表記されている希釈倍率を守って使用しましょう。

3. 希釈した液肥は保存しない

希釈した液肥はその場で使い切るのが基本です。一度水を加えると化学反応や雑菌の繁殖が起こりやすくなり、時間の経過と共に品質が変化する恐れがあります。そのため、希釈した液肥が余った場合も、保存しないようにしましょう。なるべく液肥が余らないよう、そのときに必要な量だけを希釈するのもポイントです。

液体肥料はシーンや目的に合わせて使い分けよう

液体肥料は固形肥料に比べて即効性が高い、施肥量を調整しやすい、葉面散布できるといったメリットがあります。一方で持続性が低い、肥料やけのリスクがあるなどのデメリットもあるため、使用のタイミングや施肥量の調整に注意が必要です。
また、同じ液体肥料でも配合されている成分や原料によって複数の種類に分かれるため、シーンや目的に合わせて上手に活用しましょう。


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