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農業用マルチシートのサイズと選び方について解説


農作業で使用するマルチシートは、製品によってサイズや色に違いがあります。農地に適したシートを選ばなければ、資材を無駄にしたり、作業の手間が増えたりする原因となるため、適切な選び方のポイントをチェックしておきましょう。

本記事では、農業用マルチシートがもたらす効果や、サイズと厚みの選び方、色と種類による違い、シートの適切な張り方について解説します。
「どのマルチシートを選べば良いか分からない」「色による違いは何か」といった疑問や悩みを感じている方は、ぜひ参考にしてください。

【この記事で分かること】

●農業用マルチシートを使うと、地温調節や雑草抑制、土壌水分の保持、病害虫の予防などの効果を期待できる
●マルチシートのサイズや厚みを選ぶときは畝の大きさや求める耐久性を基準にする
●シートの色によって期待できる効果が異なるため、重視する要素に合わせて選ぶ

農業用マルチシートの効果

農業用マルチシートを使用すると、主に以下のような効果を期待できます。

●地温の調節
●雑草の抑制
●土壌水分の保持
●病害虫の予防

ここではそれぞれの効果について詳しく見ていきましょう。

◆地温の調節

農業用マルチシートで土壌の表面を覆うと、外気の影響を受けにくくなり、地温を一定に保ちやすくなります。作物は急な温度変化に弱い種が多いため、マルチシートで地温を調節すれば、より作物の生育に適した環境を保持できるでしょう。

◆雑草の抑制

遮光性に優れた農業用マルチシートを使用すると、光合成が必要な雑草の成長を妨げる効果が得られます。雑草は作物の生育に必要な養分や水分を吸い上げるため、小まめな除草が必要になりますが、遮光性のあるマルチシートを張れば雑草の発芽や繁茂を防げるため、草取りの手間や時間のカットにつながります。

◆土壌水分の保持

マルチシートで覆うと、土から水分が蒸発しにくくなり、土壌水分を保持しやすくなります。作物の中には乾燥に弱く、頻繁な水やりが必要な種もありますが、マルチシートで蒸発を抑えれば水やりの手間が減り、水道費の節約にもなるでしょう。
特に夏場は直射日光による土の乾燥が起こりやすい上、除草作業による熱中症のリスクも高まる時期ですが、マルチシートを活用すれば一石二鳥の効果を期待できます。

◆病害虫の予防

マルチシートは作物の生育を阻害する病害虫の予防にも役立ちます。シートで覆うことで虫の侵入を物理的に防ぐのはもちろん、白や銀色のシートを使用すれば、光の反射によって虫が寄ってこないようにすることも可能です。
またマルチシートは降雨による土の跳ね返りを防ぐ働きもあります。土中にはさまざまな病原菌が潜んでいる可能性があり、雨水によって跳ねた土が作物に付着すると、病気を引き起こす原因となります。土の跳ね返りを物理的に防げれば、作物の病気対策にもなるでしょう。

◆肥料流出の防止

畝立てをした後にマルチシートを使用すると、長時間にわたって雨が降り続いた際、雨水と一緒に用土や肥料が流れ出るのを防ぐ効果が期待できます。肥料が流れ出てしまうと不足分を追加する手間がかかるため、マルチシートで予防しておけば労力とコストの節約になるでしょう。

◆太陽熱消毒ができる

太陽熱土壌消毒とは、太陽エネルギーを地中に取り込んで地温を上昇させ、熱に弱い病害虫を死滅させる消毒方法です。農薬や殺虫剤などを用いた駆除方法よりも環境への負荷が少なく、かつ適切な方法で実施すれば高い消毒効果を期待できることから、農業では広く用いられています。
太陽熱消毒では地表面をフィルム被覆する必要がありますが、農業用マルチシートで代用可能です。

農業用マルチシートのサイズと厚みの選び方

農業用マルチシートはサイズと厚みのバリエーションが多く、農地の面積や作物の種類などに応じて適切なものを選ぶ必要があります。サイズや厚みの選び方を誤ると、思ったような効果が発揮されず、作物の生育に影響が及ぶ可能性があるため注意しましょう。

ここでは農業用マルチシートのサイズや厚みの選び方について解説します。

◆シートの幅の選び方

マルチシートの幅は、基本的に畝幅よりもやや広めのものを選ぶのがポイントです。畝のトップだけでなく、サイドも含めて全体をマルチシートでカバーする必要があるためです。
ラインナップは750~2,300㎜などと幅広いため、自社の農地の畝の幅に合わせて適切なものを選びましょう。例えば畝の幅が1,000mmなら、幅1,350mm程度の製品を選ぶのがおすすめです。

◆シートの厚みの選び方

マルチシートの厚みは、遮光性やシート自体の耐久性に影響を与えます。一般的なシートは0.02~0.03mmであり、製品によっては0.05mmのものもあります。厚みがあるほど耐久性や耐候性、保温性に優れていますが、コストが割高になるため注意が必要です。
そのため、一般的には0.02mmのものが使われますが、シートが薄いと撤去時に破れやすく、作業効率が悪くなる恐れがあります。撤去する際の作業を考慮するのなら0.03mm以上の耐久性の高いシートを選ぶのも一つの方法です。
マルチシートで何を重視するかは人それぞれであるため、ご自身のニーズや予算に合わせて厚みを選択すると良いでしょう。

◆シートの長さの選び方

マルチシートは農業経営だけでなく家庭菜園などでも用いられるため、長さは10~200mまで幅広く販売されています。農業経営法人の場合、100mまたは200m巻きのものを選ぶのが一般的です。

◆穴あきマルチの選び方

農業マルチシートには、穴があるもの(有孔マルチ)とないものがあります。有孔マルチには一定間隔で穴が開いており、そこに種まきや定植ができるようになっています。穴のないタイプを選んだ場合、マルチカッターやマルチバーナーといった道具を使って一つずつ穴を開ける必要があるため、有孔タイプを選んだ方が手間を省けるでしょう。
なお、作物の種まきや定植の間隔は作物によって異なるため、有孔シートの列ごとの間隔(条間)や、行ごとの間隔(株間)にもさまざまなバリエーションがあります。さらに穴の幅もシートによって差があるため、作物の種類や作業のしやすさなどに応じて適切なシートを選びましょう。

穴の幅や条間・株間は、規格に記載されている4桁の数字を見ることでチェックできます。1桁目は穴の幅、2桁目は穴の列数、3桁目と4桁目は穴同士の間隔を表しています。
穴の間隔が開いているほど大きめの作物を栽培できるため、育てる作物のサイズを考慮して選ぶのがポイントです。

農業用マルチシートの色と種類について

農業用マルチシートを選ぶときは、色や素材の種類にも着目しましょう。特に色についてはそれぞれ特性が異なるため、用途やニーズに合ったものを選ぶ必要があります。ここでは色ごとの特徴や素材について解説します。

◆色ごとの特徴

マルチシートの主な色と、それぞれの特徴をまとめました。

・黒色

遮光性に優れており、雑草の発芽や成長を抑えられるため、除草の手間を省きたい場合におすすめです。よく用いられている色であり、大量生産されている分、他の色のシートに比べるとリーズナブルな価格で購入できるのも利点です。
ただし、黒色は太陽エネルギーを集める性質があり、表面温度が熱くなりやすい傾向にあります。特に夏場はシート自体が高温になりやすく、作物が葉やけを起こす可能性があることに注意しましょう。

・透明

無色透明のシートは太陽光をよく通すため、地温を上昇させるのに適しています。低温期の作物の生育を促進させたいときや、病害虫を駆除する目的で太陽熱土壌消毒を行いたい場合などに活用されます。黒色に次いでシェア率の高い色であるため、比較的コストが抑えられるところもメリットです。
一方、遮光性はほとんどないぶん、雑草が生えやすいという問題があります。また夏に使う場合は地温が上昇し過ぎないよう、シートの上に敷きわらを設置するなどの工夫が必要です。

・銀

銀色は太陽光をよく反射するため、地温の上昇を抑えたいときにおすすめです。特に夏場や、残暑の厳しい秋口に使用すると地温の調節に役立ちます。
また作物の天敵であるアブラムシやアザミウマは太陽光の反射を嫌う性質があるため、害虫対策にも有効です。シートで害虫対策すれば、農薬や殺虫剤などの使用量を減らせるため、間接的なコストダウンにつながるでしょう。
ただし、表面にアルミニウムの層を作る必要がある分、黒色や透明よりも単価が高くなりやすいところがデメリットです。

・白黒

表面が白、裏面が黒のマルチシートです。表面の白色が太陽光を反射するため、地温の上昇抑制や害虫の予防に効果的です。裏面の黒色は遮光性を発揮するため、雑草の成長を抑制できます。黒色シートの弱点をカバーできるため、暑い夏場でも使えるところが大きなメリットです。

・銀黒

表面が銀色、裏面が黒色のシートです。期待できる効果は前述した白黒とほぼ同じですが、銀色の方が太陽光を反射しやすいぶん高い害虫対策効果を期待できます。より害虫対策を強化したい場合は銀黒シートを選ぶと良いでしょう。

・緑

緑色は黒色と透明の中間に当たる性質を持つシートです。透明より光を通さず、かつ黒ほどの遮光性がないため、地温上昇と雑草抑制の両立を期待できるところが特徴です。地温を上げたいけれど雑草を生やしたくない場合は、緑色のシートを検討してみると良いでしょう。
ただし、黒色や透明に比べるとそれぞれの効果はやや落ちるため、どちらか一方を重視したい場合は黒または透明のシートを使用した方が良いでしょう。

◆マルチシートの素材

農業用マルチシートは農ポリとも呼ばれているように、ポリエチレンフィルムで作られているものが一般的です。
ただし、ポリエチレン以外の素材で作られているシートもいくつか存在します。代表的なものは以下の通りです。

●生分解性マルチシート
●紙マルチシート

・生分解性マルチシート

生分解性マルチシートとは、デンプンやポリ乳酸などを原料に用いたマルチシートです。その名の通り、土壌中に存在する微生物によって分解される仕組みになっているため、使用後に手作業で回収・廃棄する必要がありません。シートは水と二酸化炭素に分解されるため、環境に優しく、農作業の手間も省けるという一石二鳥の効果を期待できます。
ただし、ポリエチレン製に比べるとコストが高いことと、耐久性がやや劣る点に注意が必要です。

・紙マルチシート

一方の紙マルチシートは、古紙を原料としたシートです。前述した生分解性マルチシートと同じく、古紙は微生物によって分解されるため、使用後の片付けの手間を省けます。
また紙マルチシートには、地温の上昇を大きく抑えられる利点があります。紙は遮光性が高く通気性も優れており、熱がこもりにくいためです。夏場の高温期における栽培に適しており、実際に紙マルチシートを用いたら生育・収量ともに良好だったという報告もあるようです。
ただし、生分解性マルチシートと同じく、紙製はポリエチレンに比べるとコストが高めになる傾向があります。紙の性質上、水濡れに弱いため、保管する際は湿度管理に気を付ける必要があります。

農業用マルチシートの張り方


農業用マルチシートの効果を発揮させるには、正しい方法で張ることが大切です。張り方に失敗すると、シートがめくれたり剥がれたりして効果が薄れるため、注意が必要です。
なお、マルチシートは手作業で張る方法と、機械を使って張る方法の2パターンがありますが、ここでは手作業での基本的な手順と、マルチシートを張るタイミングについて解説します。

◆手作業で張るときの手順とコツ

農業用マルチシートを張るときの基本的な手順は以下の通りです。

1.畝の表面をならす
2.畝の周囲に溝を作る
3.マルチシートを張る
4.端を溝に入れて埋める
5.必要に応じて穴を開ける

マルチシートの効果を高めるには、畝の表面にぴったりとシートを張る必要があります。そのため、シートを張る前の下準備として、畝の表面や側面をならしておくのがコツです。
畝をならしたら、周囲にマルチシートの端を埋めて固定するための溝を掘ります。溝が浅いとシートがしっかり埋まらず、風で飛ばされる可能性があるため、10cm程度を目安にしっかり掘るようにしましょう。
溝を作ったら、畝の端にシートをかぶせ、角をマルチ押さえで仮留めします。そのまま反対側の端までシートを引っ張るようにして伸ばしていきます。シートの真ん中が畝の中央に合うように位置を調整しながら伸ばしていくのがポイントです。製品によっては中心線が印刷されているものもあり、より簡単に位置合わせできるでしょう。
なお、シートを伸ばす際はロールに支柱を通しておくと楽に作業できます。端まで伸ばしたら、埋める分の余裕を持たせてシートをカットし、端を溝に入れて土で埋めます。シートの端を足で踏んで畝にぴったりフィットさせながら作業すると、たるみや緩みが出にくいでしょう。
仕上げに、埋めた部分を足で踏み固めれば完成です。有孔シートでない場合は、シートを張った後に作付け用の穴を開ける作業を行います。カッターやはさみを使っても良いですが、専用の穴開けカッターを使えば上から押し込むだけで簡単に穴を開けられて便利です。

◆マルチシートを張るタイミング

マルチシートを張るタイミングは、畝を立てた後、種まきをする直前が基本となります。 種まきより1~2週間ほど前にシートを張っておくと、地温をある程度上昇させられるため、発芽や初期生育をスムーズにする効果が期待できます。
また土の状態は手でほぐれるくらいがベストです。植え付けの後に雨が降れば良いですが、そうでない場合は事前に少し土を湿らせておくと良いでしょう。
なお、風の強い日に作業するのは控えた方が無難です。シートが風に煽られてしまい、畝に沿って張るのが難しくなります。どうしても日にちを動かせない場合は、風上から風下に向かって張るようにするとシートの煽りやなびきを抑えられます。
また一度に張ろうとするとシートがめくれる可能性があるため、石やマルチ押さえなどを使って小まめに仮留めしていくのがおすすめです。

用途に合った農業用マルチシートを活用しよう

農業用マルチシートは、製品によってサイズや色、仕様などに大きな違いがあります。シートは畝に合わせてぴったり張る必要があるため、畝のサイズに適したシートを選ぶことが大切です。
また色によって期待できる効果に差があるため、どのような効果を重視するのかあらかじめ決めておくとシート選びに失敗しないでしょう。


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